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Jul 06 Mon. 2020

資本主義の曲がり角
映画『21世紀の資本』を観て

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概要

  • 努力と豊かさの相関が自明ではなくなりつつある。
  • もちろん、報われるのは努力した人であるべきだ。
    でもそうなるためには、社会の側が社会をそういうものとして
    準備しなければならないのであって、その努力がなければ、
    時として社会は努力しても報われない社会、
    努力が報われない社会を形成してしまう。
  • 努力が報われないのを社会のせいにするのは褒められたことではないが、
    反面真実でもあるのは辛いところだ。

映画『21世期の資本』

21世紀の資本 予告編

  • 映画『21世紀の資本』を視聴して感じたことの一つはそれだった。
  • 世界大戦は、見方によれば、奴隷制を前提とした国際社会の、
    植民地争いにおける対立激化を背景とした、殴り合いの喧嘩だった。
    (ふんだんにある植民地に気づき皆がわれがちに奪い合った)。
  • 資本主義による工業化の果実を再投資すれば富は無限に膨れ上がる。
    資本家がこれに気付いてまさにそのように行動したことにより、
    大戦が招かれ、終止符が打たれたということだった。
    (大戦は2度戦う羽目になった)。
  • 反省に立ったニューディール政策はほかでもない、
    社会主義の一部取り入れだった。
    • 僕の読んだ本で、誰だったか忘れたが、
      ソ連が崩壊して資本主義が勝った勝ったと言われるが、
      何もこれは資本主義が勝ったのではなく、
      社会主義をうまく取り入れながらやることができたために、
      生き残れたのが資本主義であっただけであると
      主張していたものがあった。

社会制度は崩壊を繰り返す

つまりこういうことだ。

  1. 絶対君主制と封建制
    • 宮廷への過剰な富の集中(パンがないならお菓子を食べれば良い)
      • 市民革命による絶対君主制と封建制の崩壊
  2. 資本主義
    • 工業化の進展と富の再投資による資本家への過剰な富の集中
      • 2度の世界大戦による財産の消失(工場も何もぶっ壊される)
  3. グローバル経済と国際金融資本主義
    • 投資収益率をめぐる国際競争の激化で投資家への過剰な富の集中
      • リーマン・ショックなどの金融破綻
  • つまり、歴史は繰り返しているということ。
  • 資本主義云々ではなくて、過剰な富の集中が、社会制度の崩壊を招き、
    富が平準化されるという繰り返しの中に私たちはあるのだということ。
  • この社会が平和で持続可能であるために何が必要なのか。

(余談)歴史を学ぶ意義について

  • 国立国会図書館さんが中高生のために用意したサイトの中に、
    歴史を学ぶ意義についての識者のコメントを紹介したものがあった。
    • 「歴史は変化するものであることを学ぶ」
    • 「私たちがかかえている
       さまざまな問題を解決するヒントを見つける」
    • 「ただ目の前にある現在の社会だけを見ない」
  • 僕はついに中高生時分には、歴史には暗記ものの匂いしか感じることが
    できず完全に歴史を学び損ねてしまったけど、現役学生の読者諸兄には
    そうはならずにちゃんと学んでいてほしいと思う。

(余談)ディズニー映画に見る歴史認識の深浅

  • またまた余談だが、ディズニー映画『(実写版)アラジン』(2019)では、
    ナオミ・スコット演じるお姫様(ヒロイン)ジャスミンが、
    上空から国土の人々を眺めながら、徳治政治のようなことを口走る
    ワンシーンがある。それ自体は何も悪くないのだが・・・。
  • 『アナと雪の女王』(2013)のヒロインエルザが現代フェミニズムの
    矛盾と葛藤を遺憾無く叫んでいたのと比較して、古いというか、
    共感を呼びにくいと感じる。
    • 鑑賞した当時は明確に捉えられてはいなかったが、
      その理由は上述の通り・・・
    • 私たちはすでに、富の集中を理由とした宮廷、ないし宮廷に 類するものの討伐を数度にわたり経験した結果・・・
    • 根拠は徳ではなく富なのだと薄々気付いているからではないだろうか。

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